オノンとワオノ、そしてワオノン
暗黒、強い風と激しい雨の音、そして突然現れる嵐の映像、少しして音がピタリと止まる、そして映像も消えていく・・・・、不安げな女性の顔が浮かび上がってくる、こちらをじっと見つめている、風で髪が少し揺れる、やさしい朝の日差し・・・・、オノン、22歳、大きな瞳から大粒の涙がこぼれる。心の声、つぶやくように『雨の日は・・・・、川に来ない・・・・、母を思い出すから・・・・、風の日も、川に来ない、父を思い出すから・・・・、けれどこんな穏やかな日には、なぜか来てしまう、琥珀色の水面(みなも)が・・・・、すべてを教えてくれるような気がするから・・・・、何もかも、すべてを・・・・』。 たおやかな朝日の降り注ぐ中、川下から見た大きな川にかかる閉鎖された古い橋、そのほぼ中央にたたずんでいるオノン、疲れ切った表情、けれどある種、異様な美しさをかもし出している。そして再びゆっくりと、つぶやくように心の声で、それも4歳の時の幼子の声で、『キラキラキラキラ降り注ぐ、誰のもとにも平等に、キラキラキラキラ陽の光、それはダイヤモンドのひとりごと、金剛石のインクルージョン・・・・。サラサラサラサラ水面(みなも)の光、アクアマリンのため息は、広い海へとたどりつき、真珠と共に流れゆく・・・・、夜の光は猫目石、あやしく綺麗に輝くけれど、朝の光は暖かい。とってもとっても暖かい。頬の涙もすぐ乾く・・・・、頬の涙もすぐ乾く・・・・、光の速度で生きるんだ、準備はとうにできている・・・・、遥か彼方に旅立とう・・・・、遥か彼方に・・・・』。 穏やかに流れる川の流れを見つめているオノン、なんとなく、ごく自然に、このまま川に身を投げ出してしまいそうな、そんな雰囲気である。けれど川辺は広く、木々や草花も多い、自然が豊かで野生的だ。鳥のさえずり、小動物の気配、そしてどこまでも群生する大量の菜の花、まぶしいほどの黄色い世界・・・・。 三月の早朝、大きな川の中流域、川上から見た東京郊外の住宅地に架かる古い橋、一部木造部分もあり、だいぶ傷んでいる。コンクリート部分の破損もひどく、ところどころにひびが入っている。けれど、そのひびの内部は、まるで宝石の中、唯一水分を含むというプレシャスオパールの遊色模様のようだった。そして小さな生き物(オタマジャクシ)たちが、うごめいている様でもあった・・・・。 橋は近々解体されるようで、車道はバリケードで封鎖され、通行止めになっていた。けれど歩道は通行可能であり、ごくたまに人や自転車が通った。しかしそれも、新しく大きな橋が近くにできてからは、ほんのわずかなものだった。 そんな古い橋の中央にぽつんと立ち、川の流れを見ているオノン、遠く海へと続く流れを寂しげに見つめている・・・・。再び『雨の日は川に来ない、母を思い出すから・・・・。風の日も川に来ない、父を思い出すから・・・・。けれど、こんな穏やかな日には必ず来てしまう。水面(みなも)に映る、まるで宝石のような光を見たくて・・・・、そしていつも思い出してしまう、あの日のことを・・・・』。 オノンは小学校1年生の時、大きな台風が接近していたことと、わりと家が遠かったこともあり、下校せず、数十人の児童と共に、学校の体育館で保護者の迎えを待っていました。けれど共稼ぎの母と父は、なかなかやって来ず、友達が一人減り、二人減り、人数がかなり少なくなった時、最後に残ったのが、オノンとオノンが苦手なイジメっ子の男子だけでした。なので、すごく不安な気持ちになり、恐怖と寂しさがつのり、耐えきれなくなったオノンは、思わず逃げるように強い風と雨の中、外に出て行ってしまったのです。さっきまで近くにいた付き添いの先生は、何かの用事なのか、ちょうどその時いなくなっていました。そしてイジメっ子は、不気味にニヤニヤと笑っているだけでした。 学校の近くの小さな川に架かる橋のたもとに、やっとの思いで辿り着いた時、見覚えの ある車が近づいて来ました。「アッ」と思い、笑顔になるオノン、車の中には母と父が乗っていました。オノンは嬉しくなり、思わず駆け出してしまいます。とその時、運悪く、ものすごい風と横殴りの雨がオノンを襲いました。今にも川に落ちそうになってしまった時、母と父が、慌てて車外へ出て、オンンを助けようとしました。が、すさまじい強風で二人とも一瞬で川に落ちてしまったのです・・・・。 あっという間の出来事でした。けれど次の瞬間、思いもかけない事が起こりました。体重の軽かったオノンは、なんと強風で宙に舞い上がり、近くの桑の木の枝に引っ掛かったのです。しかし両親はどんどん下流に流され、すぐに見えなくなってしまいました。オノンは必死に桑の木に、しがみついていることしかできませんでした。そんな三人の姿を、川沿いの桜の木や、少し離れた竹林の竹たちが、強風に激しくなびきながらも、人間たちの不幸を淡々と見つめているようでした。ただオノンは、一瞬目を開けた時に見えた、強風の中の黄色い菜の花の乱舞が、まるで狂気のようで、目にやきついて離れませんでした・・・・。 やがて翌日、まだ水の流れの激しさはありましたが、雨、風ともにピタリと止まっていました。そこは海に近い川の下流、母と父の遺体は、別々の岸辺に投げ出されていました。けれど二人とも、手にはしっかりとオノンの雨合羽と長靴を握っていました、そして空は驚く程きれいな青空でした。 解体まじかの橋の上、ポロポロと涙を流しているオノン、自分の雨合羽と長靴を、しっかりと握っていてくれた母と父の姿が、時々フラッシュバックのように思い出され、いつもオノンの胸を、張り裂けそうに痛めつけました。 『涙は、いつも川へ落ち、流れ、海へとつながっていく、広い、広い海へとつながっていく・・・・、こんな穏やかな日には、水面(みなも)の美しさの中、光の宝石を見たくて、音の宝石を聞きたくて、・・・・必ず川へ来てしまう。そこに母と父の魂のキラメキが、宿っているような気がするから・・・・、あ、今、大きな魚(巨大ウナギ)が川面からジャンプして私の方を見た・・・・』とオノンは心の中でつぶやき、少しだけ、ほんの少しだけ、ほほ笑みました。 そんなオノンのいる橋から少し下流の川辺を、中二のワオノが、ふらふらと後方を気にしつつ、小走りで走って行く。制服のセーラー服もだいぶ汚れていて、顔も真っ青で、とても危険な状況だということが分かる。そんな彼女を五人程の、これも中学生の男女の足が追いかけて行く。けれど川は、危うい人間たちの迷い事には関心がないようで、水面は、あくまでも美しく、水晶のようにオパールのように、キラキラと陽を反射させていた・・・・。 小4のワオノの声で、『いつも、いつも、思い出すのはイヤなことばかり、思い出したくもない嫌いな人たちの顔、顔、顔、心の中が真っ暗になっていく、闇で押しつぶされそうになっていく、どうしてこんな目にあわなくちゃいけないんだろう!?、私がどんな罪を犯したというのか!?・・・・、分からない、本当に分からない、ただ毎日が辛くて、苦しくて、それでも耐えて耐えて耐え抜いて・・・・、その先に、いったい何があるのだろう?・・・・。ここじゃないどこか、自分じゃない誰か・・・・、いつもいつも、そんなことばかり考えていた・・・・。私はいったい、何のために生まれてきたんだろう?・・・・、私はいったい、どこへ行くんだろう?・・・・』、そんな心の叫び声も、琥珀色の川の水面に、優しく溶け込んでいくようでした・・・・。 中2のワオノの声で、『ずっとずっと溺れそうで、窒息しそうで、目も見えなくて、音も聞こえなくて、信じられるものは何もなくて・・・・、そんな辛くて苦しい日々は、本当に生き地獄で・・・・、けれどイジメは決して止まらない、むしろエスカレートしていく・・・・。心の中を最悪で埋め尽くすイジメという嵐、それは、とてつもなく長くて残忍な日々の連続。 まるで、どれだけ人を傷つけることができるか、どれだけ心を壊すことができるか、そして、どこまで死に追いやることができるか、サディスティックなイジメっ子たちは、それを競い合うように、ゲーム感覚で楽しんでいる・・・・。まるで合法的な殺人を目指しているのかのように・・・・、彼ら、彼女らは、人間の心を悪魔に売り払ったのだ、そして決して自分たちの罪の重さに気づくことはない・・・・』。 小4のワオノの声で、『でも私は死なない、絶対に死なない、どんなに心と体を壊されても、人間の世界に何も信じるものがなくても、私の周りには、美しいものがあふれている!・・・・。あの、川にきらめくお日様の美しさ、しっとりと朝露を含んだ草花や木々の生命観、そして生きることに何の迷いもない元気な動物たち、それらは本当に美しい、そしてその美しいと感じる私の心は、誰にも奪えない!!、神様にだって奪えない!!・・・・。川辺の美しい自然の風景、木々や、草花、小動物たち、それらは青みがかったラピスラズリの草原のような、エメラルドの森のような、きっとサファイア姫も潜んでいるに違いない、マングローブの林のような・・・・いつか誰かが、一番大切なことを伝えに来てくれる・・・・、もうすでにルビーやガーネット色の昆虫たちも姿を現わし・・・・、赤、赤、赤、緑、緑、緑、青、白、黄色、紫・・・・、地上でも虹色の世界が広がっていくのだから・・・・』。 中2のワオノの声で、『他にも幼い頃から今まで見、聞き、体験した素晴らしい出来事、感動的体験!!がある、その中には大好きだったアニメや映画やドラマ、本や音楽もあって、思い出すと少し元気が出てくる。ネットでほんの一部でも映像を見返すことができた時、音楽を聴けた時、真っ黒になりかけていた心が少しだけ洗われる。だから私は死なない!!、ひこうき雲に乗ることはない!、絶対に!!・・・・』。 多分彼女は、過剰にそう思い込まなければ、きっと今すぐにでも、命を終わらせてしまいそうだったのでしょう。それ程イジメの嵐は、過酷なものだったのです・・・・。 トパーズとガーネットとアメシストが混ざり合うと土の香り、ペリドットの葉っぱの裏側には昆虫たちの卵がいっぱい・・・・、水晶、琥珀、翡翠たちが、海の珊瑚や真珠たちに、やさしく語りかけているような・・・・、中年になったワオノの声で、『山も、海も、川も、空も、みんなつながっていて、誰にも引き裂くことはできないんだよ・・・・、だから、さりげなく、穏やかに、やさしい歩みで行きましょう・・・・、決して心は閉ざさずに、ゆっくりゆっくり行きましょう、そうすれば必ず遠くまで・・・・、信じられない程、遠くまで行けるのですから・・・・』。 再び橋の上、22歳のオノン、下腹部をさすっている。よく見ると全身が少しむくんでいるようで、普通とは違う感じである・・・・うつむいていたオノン、突然、頭を左右に激しくふり始める、それは今までの思いを、全て打ち消すかのような動作だった。心の中で、『違うんです!!、違うんです!!、私が今、本当に悩んでいるのは、幼い頃亡くなった両親の事でも、それ以来、ずっとずっと死神、死神と言われ、イジメられ続けて来たことでも・・・・ないんです!!。それらの苦悩を、全て忘れさせてくれた人の!・・・・恋人の!、本当の気持ちを知ってしまったからなんです!!・・・・』。 橋から遠くに見える雄大な山々、そして、山々の山頂から見える、どこまでも広がる大海原、そんな絶景にかぶさって、オノンの恋人の暗いトーンの声が聞こえてくる「ずいぶん気をつけてたのに・・・・、できちゃうなんて・・・・」、オノンの声「でも私、何だかとっても嬉しいの」と、それまでずっと優しくて思いやりのある恋人だったので、いつもと違うその暗い雰囲気を、少しは気にかけつつも、きっと私と同じ気持ちに違いないと思い込んでしまったのか、オノンは妙に明るく、そう言ってしまったのです・・・・。とまどっている恋人の後ろ姿・・・・・・・・。やがて思いもかけないことが起こりました。 恋人が、急に・・・・、本当に唐突に、笑い出したのです。それもすごくイヤな笑い方で・・・・。びっくりしてしまうオノン、質素なマンションの一室は凍り付いた空間になりました。 そして不気味な笑い声の向こう側から、恐ろしい恋人の本音が聞こえてきたのです。「俺は絶対!、お前となんかと一緒にならないし!、ましてや、お前との子供なんて、考えただけでゾッとする!!」、何が起こったのか分からず、動揺して立ちつくしてしまうオノン、けれど心の中では、信じられない程ひどい言葉を、残酷に浴びせかけられたにも関わらず、『何かの間違いでしょ、悪い冗談でしょ』と思い込もうとしていた。 やがてオノンは、目にいっぱい涙をため、小刻みに震え始めるが、恋人は怒りのこもった声で、「お前、俺と最初に出会った時、俺の名前を聞いても、表情ひとつ変えなかったよな!、あの時は、本当にショックだったよ!!・・・・。俺の親父は・・・・、俺の親父は、お前に殺されたっていうのによー!!(何が何だか分からないという表情のオノン)、きっと、そんなこと気にもとめてなかったんだろうなー!!、(今までとは違い、手のひらを返したような恋人の激しい言葉に、ショックが大きすぎて、完全に自分を見失っているオノン、涙が止まらない)。 「あの日、あの台風の日、体育館に集まったお前らを、なだめ、落ち着かせ、親が迎えに来るまで一緒に待っていた教師がいただろー!、(恋人の表情が怒りから物凄く悲しげなものに変わっていく)、俺の親父だったんだよ!、(「え!?」という表情になるオノン、必死にその教師の顔を思い出そうとするが、どうしても思い出せない。逆に大嫌いないじめっ子の顔が浮かんでくる)、お前のせいで!!、お前のせいで!!、俺の親父は死んだんだー!!、(悔しさと、悲しさと、怒りの混じりあった恋人の叫び声)、ほんの短い間だったのに、子供だけにしたことを問い詰められ!、おまけに、お前の親が、川に流されて死んだことに対する責任も追及され!、なすりつけられ!、まじめだったオヤジは、さんざん悩んだ末、身も心もボロボロになって・・・・(涙声になる)、自殺しちまったんだよー!!、お前がおとなしく体育館で待ってれば、俺の親父も、お前の親も、死ななくて済んだんじゃねーのか!!、全部!、全部!お前のせいだ!!、お前が悪いんだ!!(顔面蒼白になっているオノン)。その後お前が、死神、死神って言われイジメられたのも、結局、自業自得なんじゃねーのか!・・・・、俺はお前と一年近く一緒にいて、お前という人間がよーく分かった!、お前には、信じられないくらい無神経な所がある!・・・・、俺がいくらお前に気づいて欲しくて、ヒントを出しても、結局お前は何も気づかなかった!、いや気づこうとしなかった!、何もかも忘れようとしていた!、全てを自分の都合の良い方に、良い方にと持っていこうとした!、そんなこと絶対許せない!!、俺は、いつしかお前に、復讐することだけを考えるようになった!!・・・・(うつむきブルブルと震えているオノン)、お前は人を不幸にする女なんだよ!!、お前に関わった人間は、みんな不幸になる!!・・・・、俺はもう二度とお前には会わない!!、絶対に会いたくない!!、顔も見たくもない!!・・・・、何もかも最悪だ!!」と言い捨て、十万円ほどの現金をその場に置き、「これで・・・・、おろしてくれ」と言い、部屋を出て行ってしまう。 立ちすくんでいる涙顔のオノン、ショックが大きすぎて顔面蒼白であるが、なぜか少し薄笑いを浮かべているようにも見える。ただ、自分自身が本当に全て悪かったような気がして、今、全身が砂のように崩れ去っていくような気がして、自分なんて、もう、この世にいない方がいいとさえ思い始めていた。 川辺、ぐったりと横たわっている中二のワオノの足の一部が、水につかっている、そこには、小さなオタマジャクシたちがたくさん泳いでいて、まるでブラックオパールの遊色のきらめきのように、色とりどりに光って見えた。セーラー服は泥だらけで、悲惨なことになっていることが分かった・・・・。スカートから延びる足の内側には、生理がきたのか、乱暴されたのか、血がにじみ、足をつたって川に流れていた。その血にオタマジャクシたちが近寄って来て、パクパクと飲み込んでいるようだった・・・・。それを見たワオノは、『ほんの少ししか、生き残れないんだよね・・・・、ほとんどの子が、自分たちより大きなお魚さんに、食べられてしまって・・・・、大人になれるのは・・・・、奇跡なんだよね』と、のどをつまらせながら、つぶやき涙ぐんだ。 いつしかワオノは、このまま自分も川に流され、海まで行き、自然の栄養分の一部になりたいなと思った。けれどすぐに『死ねない、絶対に!!、私は殺されても死ねない!!』と思い直していた。それはダイヤモンドの硬さにも匹敵する、彼女の強い意志だった。けれど、なぜ自分がそう思うのか、ワオノ自身にもよく分からなかった。ただ、自分が死ぬのは今じゃない!!という明確な意志だけがあったのだ。 すぐ近くには黄色が鮮やかな菜の花の群生があり、その中に一本大きな桑の木があった。ワオノはヨロヨロと立ち上がり、その桑の木の幹に触れ、『本当に、みんな必死なんだよね・・・・、桑の木さんも大雨で川があふれた時、恐怖に襲われるよね、動けないんだもんね・・・・、私はまだ動けるのに、どこにでも行けるのに・・・・、いつもメソメソしてて、ごめんね』、と心の中でつぶやいた。 自然の美しさが心のよりどころだったかもしれない。けれどワオノの表情を見ている限り、その気持ちも、いつまで続くのか分からなかった。常に心の糸が切れそうで、風前の灯で、消える前にパッと燃え上がる炎のようで・・・・。 川辺には美しくも醜くい様々な生き物たちの死骸も多くあった。魚、鳥、昆虫、爬虫類、両生類、哺乳類等々、人間の死骸もどこかにあるかもしれない・・・・、いつの間にか、黄色い菜の花の群生が、真っ赤な曼殊沙華の群生に変わっていた。そしてシャワシャワパラパラと雨も降り出したのか・・・・、いや違っていた、その音は蚕が桑の葉を食べている時の音、蚕時雨(こしぐれ)だった、それは心に響くやさしい音だった。 ワオノの姿が見えなくなっていた、よく見ると川辺のゴミ、特にペットボトルやビニール袋などを拾っていた・・・・。蚕時雨(こしぐれ)の音と共に、泣きながら一生懸命拾っていた・・・・。どこまでも続く美しい川の流れ、そこへ今までの暗い雰囲気を吹き飛ばすような、明るい音楽が流れてくる。四歳のワオノンが川沿いの遊歩道を、乗れるようになったばかりの自転車で、元気よく走ってくる。もちろん心友チャメ(茶白柄の大きな猫)を乗せて!!(続) |